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出典明記例:
(出典:一般社団法人日本PMO協会,https://www.npmo.org/pmo%E3%81%A8%E3%81%AF/)
PMOとは"Project Management Office(*1)"の略です。日本語では「プロジェクトマネジメントオフィス」、「プログラムマネジメントオフィス」と一般的に呼ばれます。
PMOは、組織内における個々のプロジェクトマネジメントの支援を横断的に行う部門や構造システムを言います。
一般的なPMOの主な役割は以下の通りです。
(*1)企業組織やプロジェクト規模によっては、Program Management Office, Portfolio Management Officeと呼ばれることもあります。
本WEBページでは、分かりやすいようにPMOの作業や業務内容を中心に記載していますが、PMO導入の本質的な価値は「経営戦略」のより確実な履行およびそれにより生み出されるビジネス価値の最大化です。
経営戦略は企業戦略、事業戦略(競争戦略)、各種機能別戦略などの総体を指します。
またこれらは一貫し、企業戦略→事業戦略(競争戦略)→各種機能別戦略の順に詳細化されていきます。
ビジネスは継続業務(ライン業務)とプロジェクト業務に分かれています。
経営戦略を履行しビジネス価値を創造するために、継続業務(ライン業務)とプロジェクト業務は業務を執行します。
プロジェクト業務は有期性(期限がある)と独自性がある業務です。
未来を創造する業務がプロジェクト業務であり、未来に対する活動ですので、その成功率が経営戦略の履行実現およびビジネス価値の最大化に大きな影響を与えます。
従って、PMOはあらゆるプロジェクトマネジメントの支援を通じて、その成功率を高め、経営戦略の履行をより確実にし、ビジネス価値創造の最大化をしていきます。
例えば、本ページで記載する「プロジェクトマネジメント方式の標準化」、「プロジェクトマネジメントに関する研修など人材開発」など様々な業務内容は、業務内容としてみれば理解していただきやすいと思います。
しかし、本質は、これらを通じてプロジェクト業務の成功率を高め、経営戦略を確実に進め、ビジネス価値を最大化することです。
プロジェクトマネジメントの知識と技術はITや大規模インフラ事業だけではなく、あらゆる産業・業種・業態で利用でき、ビジネスを飛躍させる原動力になります。
企業内のプロジェクトを綜合的に支援するPMO導入により、様々なメリットがあります。日本PMO協会は様々なアプローチで日本におけるPMO普及を目指しています。
1. プロジェクト現場でのメリット
2. 企業経営でのメリット
プロジェクトマネジャーは「プロジェクト」のために活動する役割です。
一方で、PMOは基本として「プロジェクトマネジメント」のために活動する役割です。
つまり、プロジェクトマネジャーは「プロジェクト」の成功のために「プロジェクトマネジメント」をするのですが、この「プロジェクトマネジメント」に対して活動するのがPMOです。
したがって、PMOは以下に記載する多岐にわたるプロジェクトマネジメント支援活動があり、またPMOの役割や職種も多岐にわたります。
なぜPMOの支援活動や役割や職種が多岐にわたるかというと、それは組織により「プロジェクトマネジメント」の課題が異なるからです。
例えば、とある組織ではプロジェクトに関するガバナンスに課題があったとします。一方で別の組織ではプロジェクトマネジメントにおける膨大な事務作業に課題があったとします。この2つの組織に対するPMOのプロジェクトマネジメントに対する支援活動、役割は異なってきます。
PMOを統括する役割の方(PMOマネジャー)は、現在組織でどのようなプロジェクトマネジメント支援活動が必要かを考え、組織にあったPMO活動をテーラリングにより構築する必要があります。
本ページで記載したように、PMOの本質は経営戦略のより確実な履行、そしてそれによるビジネス価値の最大化です。
テーラリングをする際、これらの本質を考え、何を優先的に支援すべきか考えることが大切です。
記述のように、PMOは「プロジェクトマネジメント」に対して活動します。
では、なぜ「プロジェクトマネジメント」のために活動するPMOが必要となるのでしょうか。
ここで、会社設立から会社の成長の過程を例に考えてみましょう。
一人が会社を設立したとしましょう。
いわゆる一人社長で、従業員はいませんので、自分自身が直接業務の執行を行いながら、経理や法務、経営全般もやらなくてはなりません。
この状態をプロジェクトに当てはめると、比較的小さなプロジェクトで、自分自身がプロジェクトタスクを行いながら、経理や法務、プロジェクトマネジメントツールによる管理などのプロジェクトマネジメントも一人で行っているような状況です。
一人社長が頑張って活動し、徐々に会社が成長し、社長一人だけでは仕事が回らなくなったとします。
もしくは、直接業務の中に専門性の高い分野があり、自分だけでは仕事が回らなくなったとします。
この時、社長は適切な従業員を雇い、直接業務執行は従業員、経費や法務などの間接業務や経営などは社長というように、業務分担をします。
この状態をプロジェクトに当てはめると、既述のプロジェクトよりはやや大きな規模のプロジェクトで、一人だけではプロジェクトが回らず、プロジェクトチームメンバーにタスクを割り当て、自らはプロジェクトの間接業務やプロジェクトマネジメントに専念(プロジェクトマネジャー)するような状況です。
さらに社長と従業員が頑張り、組織が成長し従業員がさらに増えると、経理や法務、人事、IT関連、監督官庁関連など組織を維持するための間接業務量が膨大になります。
この影響で社長は一番重要な経営の意思決定に割り当てられる時間が削られていきます。
また、組織を適切に保つためのルールやガバナンスなどの課題が出てきます。
この時、社長は間接業務や経営企画に従業員を雇い(またはアウトソース(外注)し)、適切な経営の意思決定ができるような組織にします。
この状態をプロジェクトに当てはめると、既述のプロジェクトの規模がさらに大きくなり、もしくは中小規模のプロジェクトが複数発生し、プロジェクトマネジャーの間接業務は膨大に増え、またはガバナンスも効かなくなり、プロジェクトマネジャーの重要な役割のひとつである、プロジェクトの成功のための意思決定に割り当てられる時間が少なくなってしまいます。
この状況がプロジェクトマネジメントの品質を落とし、さらにはプロジェクトの成功に影響を及ぼすこともあります。
そこで、プロジェクトマネジャーが対応しきれない部分をPMOがプロジェクトマネジメント支援として活動していく事になるのです。
PMOの役割や役職は企業組織・文化・環境、そしてプロジェクト規模等により多岐にわたります。
PMOに在籍する方々の共通の役割は企業内における個々のプロジェクトマネジメントの支援を行うことです。
ここでは一般的なPMOに在籍する方々の役割やお仕事の内容をご紹介します。
企業組織・文化・環境・プロジェクト規模に応じて、役割ごとに担当者が配置される場合や、複数の役割をひとりの担当者が兼務することもあります。
【PMOアドミニストレータ(PMO事務)】
プロジェクトに関連する社内プロセスを円滑に進める役割です。
<一般的な業務内容例>
【PMOエキスパート】
プロジェクト環境・ルールの策定・改善および標準化をする役割です。
<一般的な業務内容例>
■プロセス分析
■情報分析
■ツール分析
■ビジネス分析
■人材開発
【PMOマネジャー】
PMOを管理するマネジメント業務全般をする役割です。
<一般的な業務内容例>
PMOの役割や職種に加え、PMOがどのように組織のプロジェクト課題に対してアプローチするのか、PMOの活動アプローチ方法を考える必要があります。
【支援型(助言型)】
プロジェクトマネジャーからの支援依頼があった際、プロジェクトマネジャーに適切な助言または具体的な支援を実施するアプローチ。
【コントロール型(管理型)】
プロジェクトマネジャーから各種プロジェクト情報を収集し、これらの情報を管理するとともに、プロジェクト情報に関して問題がある場合は改善を求め、改善までの状況の管理を実施するアプロ―チ。
【指揮型】
プロジェクトに問題が発生している場合など、PMOが直接プロジェクトに介入し、プロジェクトマネジャーならびにプロジェクトメンバーに対して指揮するアプロ―チ。
記述の通り、PMOの役割や活動は組織のプロジェクトマネジメントの課題により多岐にわたります。
組織のプロジェクトマネジメントの課題を適切に解決するためには、活動や役割だけではなく、PMO組織をどこに配置するかも大切になってきます。
個々の組織戦略により間接部門の立ち位置が異なるのと同じく、組織におけるプロジェクト戦略によりPMOの立ち位置が変わってきます。単純化すると、一般的にPMOの立ち位置には、「全社的PMO(全社型)(EPMO:Enterprise PMO)」と「プロジェクト内PMO(プロジェクト事務局型)」があります。
これらの組織構成や記述の役割については、当該組織が主に発注者側か受注者側かでも変わってきます。
PMOは個別組織により、独自の変化を遂げています。
欧米のPMOは「Enterprise PMO(EPMO)」が主流になっています。
EPMOは当会で言うところの全社型PMOです。
さらに、経営戦略に準拠したプロジェクトの投資判断・ポートフォリオマネジメントなども行う上流組織として位置付けられています。
本ページで記載したように、PMOの本質的価値は経営戦略のより確実な履行、それによるビジネス価値の最大化ですので、組織内で提案される全てのプロジェクトの選別、投資配分、プロジェクトの継続および中断の判断など重要な役割をEPMOは担います。
日本企業においては、IT分野でのCIOの立ち位置や、IT投資委員会などの機能もEPMOに含まれる場合があります。
組織におけるプロジェクトはITのみではありませんので、非ITも含めてこれらを行っていくのがEPMOとなります。
なお、欧米でEPMOが主流となり、定着する理由には、産業構造に関わりがあると言われています。
例えば、欧米のIT業界におけるエンジニアは、発注者側(ユーザ企業)に7割、受注者側(ベンダー企業)に3割と言われており、実際にビジネス価値を創造するモノを発注者側企業内で生み出しています。
従って、プロジェクトマネジメントも発注者側企業内で実施しており、経営とプロジェクト、そして開発が自社内で緊密な連携が取れる状態になっています。
このような事情もあり、全社的PMOが投資配分やポートフォリオマネジメント、プロジェクトマネジメントの高度化など、上流工程で価値を生み出せる状態です。
一方で、日本のIT業界では、エンジニアの7割が受注者側(ベンダー企業)、3割が発注者側(ユーザ企業)という欧米の逆転現象が言われており、実際にビジネス価値を創造する発注者側と、その価値を創造するモノを生み出す受注者側とで距離感があります。
この距離感が、受注者側の経営戦略を上手く受注者側のプロジェクトチームに伝達・共有できない、またはその逆でプロジェクトの状況が発注者側に見えづらいという事象が発生しています。
この事象は、経営戦略のより確実な履行、そしてビジネス価値の最大化への課題になります。
今後の日本における産業構造を意識したPMOの在り方として、当会は以下をご提案しています。
<発注者側(ユーザ企業側)PMO>
発注者側PMOは、経営戦略に準拠した投資判断およびポートフォリオマネジメントに注力し、またベンダーコントロールを強化したPMO形態がビジネス価値の最大化に寄与すると考えています。
具体的には、全プロジェクトの進捗確認による監視コントロールの強化およびゲートレビューの徹底、投資対効果に関する判断およびプロジェクトの継続・中止判断、BRD(Business Requirement Document)等の高度化を通じた経営戦略に準拠したビジネス要求事項の徹底、ステークホルダーマネジメントの徹底などです。
発注者側の経営戦略をどう確実に履行できるかを念頭にテーラリングされることをおすすめします。
<受注者側(ベンダー企業側)PMO>
社内のプロジェクトマネジメントを高度化し、顧客に対するプロジェクトの成功率を高めることに注力することが、受注者側企業のベネフィットになります。
従って、いかに、要求事項を満たすプロジェクトを履行できるかを念頭にPMOを構築する必要があります。
また、プロジェクトの成功に当たっては、自社内だけではなく、顧客(ユーザ企業)の経営戦略を理解し、本質的に何がビジネス価値を生み出すのか、ユーザ企業との連携強化がさらに必要になってくると考えています。
例えば、ユーザ企業側から要件定義書が出たとしても、そこにビジネス要求やビジネスニーズ、ビジネスケースなどが不明瞭だった場合、適切に確認していくことや、自社のソリューションで顧客企業の経営戦略に準拠したビジネス価値をどう創造するのかの提案力が求められます。
これらを高度化するためのPMOの構築をおすすめしております。
昨今の「アジャイル」開発アプローチの普及において「アジャイルPMO」のニーズが増しています。
予測型・漸進型・反復型・アジャイル型のいずれの開発アプローチであったとしても、本ページで紹介しているPMOの基本的な活動内容は変わりません。
しかし、アジャイル組織で求められるPMOの活動内容には特徴があります。
アジャイル組織で最も大切なことは、アジャイルマニフェストに代表される、アジャイルのマインドセットや哲学をいかに組織に定着化させるか、そして維持・向上させるかです。
また、これらを実現させるアジャイルの「実務慣行(Practice)」を組織に展開・定着させるかが大切です。
アジャイルPMOにおいては、組織全体を視野に入れたこれらの活動が重要視されることが多いです。
また、アジャイル開発アプローチでは一般的に10名以下の小集団で活動することが多いですが、プロジェクトの規模やプロダクトの規模が拡大する際に必要な「スケーリング」や、スケーリング後のチーム間の連携を含む組織の設計や調整が、アジャイルPMOとして活動として重要視されることも多いです。
上記のように、PMOとして活躍される方、もしくはPMO導入される組織においては、PMOの基礎を学ぶことで、より効率的なプロジェクトマネジメント支援活動が可能となります。
一般社団法人日本PMO協会では、プロジェクトマネジメントやPMOの普及を目指し、プロジェクトマネジメントの他、PMOに関する資格、オンライン学習を提供しております。
一般の皆様のご利用の他、企業内部の教育などでご活用いただいております。
ぜひPMOの知識を習得し、資格という形で自らの知識と技術を証明いただけますと幸いです。
<NPMO認定 PMOスペシャリスト認定講座の詳細についてはこちら>
PMOの役割や役職およびその規模は、企業の経営戦略および競争戦略に即して構築する必要があります。プロジェクトマネジメントの環境、プロセス、教育等に課題がある場合は、PMOを導入することがひとつの解決策となります。
中小企業庁の2012年2月の調査によると、日本における企業全体に占める中小企業・小規模事業者の割合は99.7%(うち小規模事業者は86.5%)になります。
プロジェクトマネジメントの高度化・最適化をしたいが自社でPMOを設置できない中小企業・小規模事業者の皆様がおります。そしてPMOを導入したいが手法がわからない大企業の皆様もおります。
日本PMO協会(NPMO)はPMO導入に向けた様々な支援を行っております。
日本PMO協会は、さまざまな産業の企業、団体、組織に対して、PMOの教育や実務支援を提供してきました。
その経験を通じて、日本ならではのPMOの活用方法とその独自の発展を見てきました。
欧米では、PMOが「EPMO(Enterprise Project Management Office)」として、より経営に近い役割を担うようになっています。
一方で、日本のPMOは、従来の「プロジェクト事務局(PO: Project Office)」としての役割から独自の進化を遂げています。
この進化には、日本の雇用形態、仕事のスタイル、文化的背景、商習慣、そして経済や人口動態などが影響していると考えています。
その中で、当協会は「シェアードリーダーシップ」というリーダーシップの概念の中で、日本におけるPMOの新しい活用方法を提案しています。
シェアードリーダーシップとは、チームや組織のメンバーが互いにリードし合い、リーダーシップの責任を分散させる概念やリーダーシップスタイルです。
これまで、プロジェクトマネジャーが強力なリーダーシップを発揮してプロジェクトを推進してきましたが、現代のプロジェクト環境は市場環境やテクノロジー等の急激な変化により高度化、複雑化しており、小規模なプロジェクトでさえその不確実性が増しています。
さらに、日本では少子高齢化により、高度化・複雑化するプロジェクトをリードする絶対的な人口も減り始めています。
また、日本の独自の労働環境においては、雇用形態が「ジョブ型」へと移行しつつあるものの、依然として「メンバーシップ型」が強い状況でもあります。
このような日本を取り巻く独自の環境に対応するため、日本PMO協会は、一人の強いプロジェクトマネジャーに頼るのではなく、PMOを「プロジェクトマネジャーの支援」として活用し、プロジェクトマネジメントの「チーム」として、リーダーシップを分散させる手法を提唱しています。
また、このPMOを活用した「プロジェクトマネジメント・チーム」のリーダーシップが、日本におけるプロジェクトの推進力を強化する、ひとつの日本の独自手法であると考えています。
今後も日本PMO協会は、世界のPMO動向を注視しつつ、日本独自の価値を創出するPMOのあり方を探求していきます。
日本PMO協会では、プロジェクトマネジメントで必要とされる知識と技術について、あらゆる側面からの教育・研修・資格認定を通じてPMO導入に向けた支援を行っております。