PMO AWARD 2024, PMOアワード2024,

PMOアワード2024「最優秀賞」

株式会社グルメ杵屋

「外食業界でのPMO導入により戦略執行と成果最大化に挑戦」

PMOアワード2024授賞式

(写真左)代表執行役社長CEO 椋本 充士 様 / (写真右)一般社団法人日本PMO協会 会長 理事

応募内容の概要

●経営層による明確な戦略執行策としての「PMO設立」

株式会社グルメ杵屋(以下、同社)は、全国各地で飲食店を展開し、長年にわたり愛される店舗ブランドを運営している日本の外食チェーン企業である。

また、多くのグループ会社を有し、世の中に価値を提供している。

 

このように幅広い事業を展開する同社では、経営戦略として実行すべき事案が数多く存在し、その内容も複雑化してきている。

これらの実現力や実行力をさらに高めるため、どのような施策を講じるべきかが検討されてきた。

同社の経営層は、その解決策として、経営戦略や中期経営計画において実行すべき事案をプロジェクト化し、管理すること、そしてそれを担うPMOを正式に設置することを決断した。

 

●経営層との対話を通じたPMO設計

同社は外食産業におけるPMOの他社事例を調査したが、同業他社の事例は見つからず、外食産業における戦略執行のためのPMOに関する具体的なケースも存在しなかった。

また、同社内やグループ会社内にもPMO経験者がいない状態であったため、ゼロベースからPMOを立ち上げることとなった。

まず、経営層がPMOの役割と責任を設定し、その後、経営層とPMO担当者が膝を突き合わせて、PMOの価値定義から始め、プロジェクトマネジメントをどのように組織に定着させ、戦略的なプロジェクトの執行をどう管理していくかについて、議論を重ねていった。

さらに、PMOの業務分掌、プロジェクトガイドライン、プロジェクト立ち上げや終結の承認フロー、プロジェクトマネジメントツールやフォーマットなどを作成・整備していった。

 

最終的には、同社におけるPMO組織の目的は戦略執行の強化であり、その目的に最適なPMO組織の形態を議論した結果、同社独自のハイブリッド型PMO組織が最適であるという結論に至った。

 

PMO体制図,グルメ杵屋,

 

同社独自のハイブリッド型PMO組織として、同社にPMOを設置するとともに、グループ各社にもPMOを設置する体制が整えられた。

 

グループ全体で見れば、同社のPMOが全社型PMOとして機能し、グループ各社のPMOが事務局型PMOとしての役割を果たす。

一方、グループ会社単体で見れば、それぞれに設置されたPMO組織が全社型PMOとして機能するように設計されている。

この独自のPMO体制により、PMO設立の目的である本社とグループ各社の戦略執行の連携強化と、執行状況の円滑な情報共有が実現した。

 

今回ご応募いただいた山口 清張 様(写真中央で賞状をお持ちの方)/ 役員・PMO組織の皆様

 

●PMOの定着活動

PMOの戦略的な組織構築や運営・管理手法を整備したとしても、社内にこれらの活動が浸透・定着しなければ、本来のPMO設立の目的は達成できない。
同社は、PMOの体制整備後、各社のPMOが定期的に集まり、プロジェクトマネジメントやPMOに関する勉強会や意見交換を行い、PMOの知識と技術の向上を図るとともに、グループ全体のPMO間でのコミュニケーションを通じた連携強化を進めた。
さらに、策定した管理手法を早速活用し、戦略の優先順位付け、実行プロセスの明確化、実績や進捗情報に関するKPIを定期的にトラッキングして運営することで、戦略的プロジェクト案件の追加アクションや取り組みの見直しが経営層とともに迅速に行えるようになった。

 

PMO活動の価値や成果

PMOの設置と活動により、経営戦略や中期経営計画上の数々の重要事案(優先事案)がプロジェクトベースで立ち上がり、確実に実行に移され、進捗も可視化されるようになった。

これにより、適切なプロジェクトコントロールが可能となり、成果を出し始めている。

一例として、グループ各社全体を巻き込んだ調達関連プロジェクトでは、経営成果に結びつく調達改善が実現され、大きな価値を生み出した。

また、店舗に対するDX関連プロジェクトやグループ会社の食品製造工場の生産性においても、戦略的な活動が計画通りに完結し、成果を上げている。

さらに、同社やグループ各社の社員の仕事の進め方にも変化が見られるようになってきている。

具体的には、社員各自が目標を設定し、その目標達成までのプロセスやマイルストーンをしっかりと議論・設定した上で仕事を進めるという、高い実行力を持った活動が徐々に定着してきた。

 

審査委員の評価ポイント(ベストプラクティス)

●論理的かつ戦略的なPMO構築の価値

同社は、戦略執行の強化という明確な経営課題を解決する手段としてPMOを構築した。

経営層は、複雑化する戦略的事案をどう進めるべきかを考え、その結果、実行すべき事案をプロジェクト化し、管理していく手法に至った。

そして、これらを推進するためにはPMOが必要であるという、非常に明確な設立事由が存在している。

この「存在理由」が明確であるからこそ、外食産業においてPMOの事例がほとんどない中で、独自性があり、同社の事業体制に適したPMOが設立・運営され、同社の課題解決という価値を生み出している。

PMOに限らず、企業内の組織は、たとえ同じ名称の総務部や法務部、営業部であっても、企業によってその詳細な活動や活動範囲が異なる。

これは、それぞれの企業が異なる戦略的ビジネスモデルを持ち、企業ごとに課題が異なるため、各部署の活動や活動範囲も企業によって変わってくるからである。

PMO導入に際して、ツールや技法、組織の型を学ぶことは重要な要素であるが、その後、それらをどのように論理的かつ戦略的に自組織に組み入れていくかという視点が極めて重要であり、本ケースはその視点を提供する貴重な情報であると評価した。

さらに、本ケースは、経営戦略執行の観点から構築されたPMOの立ち上げ事例であり、Enterprise PMO(EPMO)としての役割を担うPMO立ち上げの事例として、価値あるものである。

 

経営と業務執行の連携

既述の通り、同社のPMOは経営課題の解決を目的として、経営層を起点に組成されたPMOである。

さらに、同社の経営層は、PMO担当と共に「どのようなPMOが同社に最適か」を議論し続け、PMOの組織運営や管理手法の詳細に至るまでアップデートを重ね、試行錯誤を繰り返して現在の形に至った。

この経営と連携したPMO構築プロセス自体が、PMOの存在意義を明確にし、グループ各社へのPMO体制導入を推進していると考えられる。
経営層の関与が低いPMO設立は、戦略上の意図と異なる組織運営となったり、経営層の後ろ盾がないために非公式な組織としてPMOを運営することになる場合もあり、結果としてPMO権限が曖昧となり、PMO活動を組織に定着させることが難しくなる。

同社のケースは、PMO組織設立時に経営層とPMOが連携すべきことを示す重要なモデルケースであり、特筆すべき点である。

 

PMO組織のリーダーシップ 

経営層がPMOの必要性を論じ、組織や運営方針を構築したとしても、それを組織内に定着させるのはPMOの担当者や責任者の役割である。

同社はグループ各社にまたがるPMO組織であり、その定着は個社のみの導入に比べて難易度が高い。

グループ各社のPMOは、PMO運営やプロジェクト活動の定着を図るため、定期的な協働活動や積極的な意見交換を行っており、PMO導入・定着において優れたリーダーシップを発揮している。

また、既述のように、グループ各社の社員の仕事の進め方に変化が見られているのも、PMOメンバー各自のリーダーシップによって実現された変化である。

グループ会社間のPMO組織におけるリーダーシップのあり方を示す、評価に値するケースである。

 


実践型プロジェクトマネジメント研修やPMO研修はこちら

実践型プロジェクトマネジメント研修をご提供しております。数多くの大企業・先進的中小企業・公共機関・NPO法人にご利用いただいております。<詳細はこちら

プロジェクト,マネジメント,研修,即実践,即実践型,明日から使える,

実践型PMO研修をご提供しております。数多くの大企業・先進的中小企業にご利用いただいております。
詳細はこちら


プロジェクトマネジメント資格やPMOの資格はこちら

プロジェクトマネジメント資格
プロジェクトの現場業務において基本として習得すべき知識と技術を確認し、それを認定する実践重視の資格です。<詳細はこちら

PMO資格
PMOの現場業務において習得すべき知識を確認し、それを認定する資格です。
詳細はこちら

PMO,資格,試験,ISO,21500,PM,プロジェクト,マネジメント,オフィス,日本PMO協会,