(写真左)金融ソリューション事業部 金融ソリューション事業部長 五月女 基史 様 / (写真右)一般社団法人日本PMO協会 会長 理事
●複雑な金融ITプロジェクトを支える「PMO DRIVE」
現代の金融機関におけるIT関連プロジェクトは、ますます複雑化している。
キヤノンITソリューションズ株式会社は、この複雑化する金融機関のプロジェクトを、組織的かつ構造的に独自の手法で支えている。
同社は、自社のPMOサービスを「PMODRIVE」という独自のブランド名で展開している。
これは、「主体的かつ積極的にプロジェクトを推進(DRIVE)する」という、このサービスの行動指針に基づいている。
PMO DRIVEでは、プロジェクト管理支援、企画実行支援、アセスメント支援、さらにはPM教育まで、幅広い領域をサポートしている。
(出典)キヤノンITソリューションズ株式会社 WEBサイト,2024年11月1日参照,https://www.canon-its.co.jp/products/pmodrive/
同社はシステムインテグレータであるが、お客様のニーズに真摯に向き合い応えていく中で、独自のPMO支援を確立した。
●PMOによる構造的な支援
金融機関におけるIT関連プロジェクトの複雑性は、昨今の急速に変化する外部環境への適応が求められ、多様な戦略的プロジェクトが同時多発的に発生していることに起因している。
しかし、経営リソースには限りがあるため、経営層は戦略的プロジェクトの優先度やリソース配分について、高度かつスピード感をもって意思決定を行う必要がある。
同社は、この意思決定を全社型PMOとして支援している。
金融機関内のITプロジェクトを統括するポートフォリオマネジメント機能をサポートし、戦略的プロジェクトの企画や立ち上げに貢献している。
さらに、プロジェクトの立ち上げ後は、同社のPMOが事務局型PMOとして、プロジェクトの計画および実行を支援している。
このように、同社はハイブリッド型のPMO支援を通じて、幅広く構造的に金融機関のITプロジェクトマネジメントをサポートしている。
(写真左から)金融ソリューション事業部 遠井 秋雄 様 / 金融ソリューション事業部長 五月女 基史 様 / 金融ソリューション営業本部長 小塚 剛史 様 / 佐藤 信介 様
●「スピード」と「品質」を兼ね備えた組織的支援
先述した「スピード感」のある経営の意思決定を支援するため、同社は常にクライアント専任のPMOをチームとして提案・導入し、その組織をクライアント内で維持するとともに、社内で各領域のPMO専門メンバーを「プール」している。
これにより、クライアントでプロジェクトの立ち上げが決定された際、迅速にクライアント専任のPMOがプロジェクトを支援できるだけでなく、PMO専門人材の増員が必要となった場合にも速やかに対応できる体制を整えている。
また、同社では、すべてのPMOメンバーの知識、技術、業務経験などの情報を管理し、タレントマネジメントを通じた高品質なプロジェクト支援体制を構築している。
さらに、このクライアント専任の「チーム」による組織的支援により、PMO専門メンバー個人の知識や技術の属人化が軽減され、組織の継続的支援を通じて、クライアント側のプロジェクトの戦略や特徴を理解したチームがプロジェクトを支援できるようになっている。
加えて、このPMOチームによる支援やPMOメンバーのプールにより、PMOリソースのシェアが可能となっている。
例えば、1人月ではなく、0.7人月や1.7人月など、クライアントが必要とするプロジェクトマネジメント支援のボリュームに柔軟に対応できる点も特徴である。
●PMO活動の価値や成果
既述の構造的かつ組織的な支援により、金融機関が本来戦略的に立ち上げるべきプロジェクトを円滑に立ち上げることで、逸失売上や逸失利益の防止を実現している。
●組織的かつ構造的なPMOの価値
評価ポイントとしてまず挙げられるのは、ハイブリッド型PMO組織による支援である。
同社はPMOサービスを提供しているが、このケースは自社でPMOを運営している場合にも参考になる。
まず、企業における中期経営計画や事業計画内の実行すべきプロジェクトになかなか着手できない、または立ち上がらない場合、全社型PMOがポートフォリオマネジメントの視点で戦略的にプロジェクトの優先度を決定し、立ち上げを推進する方法は、極めて有効な手段であり、全社型PMOの価値である。
さらに、プロジェクトが立ち上がったとしても、その詳細な計画や実行を推進するためには、専門人材、すなわちプロジェクトマネジャーが必要となる。プロジェクトマネジャーのリソースが限られ、組織で不足している場合は、PMOがプロジェクトマネジャーを支援し、プロジェクトを推進していく必要がある。
同社のPMO支援体制は、組織におけるプロジェクト課題をPMOがどのように組織的かつ構造的に解決するのかについて、極めて重要なインサイトを提供していると評価した。
●タレントマネジメントによるPMOの価値の高度化
同社では、知識、技術、経験を有するPMOメンバーが在籍し、さらに金融機関のクライアントからの要請に迅速に対応できるよう、PMOメンバーを「プール」していることを述べた。
同社は優秀な人材を「プール」しているだけでなく、「タレントマネジメント」を実施している点を評価した。
タレントマネジメントとは、シンプルに言えば、在籍する人材の知識、技術、経験などを把握し、適切な人材配置や育成を行うマネジメント手法である。
PMO支援と言っても、その支援領域は幅広い。プロジェクトの課題に対して適切な知識、技術、経験を有するPMOメンバーが支援できるよう、タレントマネジメントをPMO組織マネジメントに組み込んでいることは、大きな価値である。
このケースは、自社内でPMO組織を運営する際にも有用であり、特筆すべき点である。
●PMO行動指針の明確化とブランディング化
同社のPMOサービスのもうひとつの特徴として、「PMO DRIVE」という独自のサービス名称が設定されており、この名称は同社のPMOサービス提供における行動指針を表している点が挙げられる。
企業にミッション、ビジョン、バリューがあるように、PMO組織においても「組織としてのあり方」を明確にすることは重要である。
PMO組織運営において、極めて重要なインサイトを提供する価値ある情報であった。
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